木材の炭素貯蔵効果
木材の炭素貯蔵効果とは、森林で光合成により大気中から吸収したCO2が、木を伐採して木材として使用されている間も、炭素(C)として固定され続けることです。そして、木材を燃やさない限り、木材から大気中にCO2が放出されることはなく、貯蔵され続けます。このため、木材は「炭素の缶詰」とよばれています。
木材は炭素の缶詰
森林の木々は、光合成により大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収します。光合成で吸収した二酸化炭素は、炭素(C)として、ブドウ糖となり、デンプンとして貯蔵され、幹や枝、葉など樹体を形成します。そのため、樹体内には無数の炭素が貯蔵されるようになります。
そして木が伐採されて、木材として使用されている間も炭素(C)は固定(貯蔵)されたままです。大気中から吸収したCO2は、燃やさない限り木材から、大気中に放出されることはありません。このため、木材は「炭素の缶詰」「炭素の貯蔵庫」などとよばれています。このため木材製品を使うことは、地球の環境保全に役立ちます。
木造住宅は「都市の森林」
木造住宅(木の家)をつくっている木材は、森林と同じように炭素(C)を貯蔵したままです。このため、木造の家が立ち並ぶ住宅地は、地球環境保全(炭素固定)の観点から森林と同等の役割を果たすため、「都市の森林」、「第二の森林」などとよばれます。最近では、CLTと呼ばれる合板の一種を巨大な建築物にも利用できるようになり、大規模な都市の森林も見られるようになりました。
地中の森林とは
都市の森林とともに「地下の森林」とよばれるものもあります。代表例として、地盤の液状化を防止したり、地盤を締め固めるために、地面に打ち込まれた丸太が挙げられます。地面に打ち込まれた丸太は水と土壌に守られて劣化しにくいことが知られています。劣化しにくいということは、丸太内に貯蔵されている炭素を放出しにくいということになり、地中にも地上の森林と同等の役割を果たす、「地下の森林」ができていることになります。
例えば、高知市役所の地下には直径16cm、長さ3.5mの丸太が15700本も打設されています。
木製品を増やすことで炭素の貯蔵効果が高まる
私たちが木造住宅を建てたり、木製の家具を使うことは、炭素を貯蔵していることになります。 つまり、木材を使っている間は大気中の二酸化炭素(CO2)を減らしていることになり、身の回りに木材製品が増えるほど、温暖化防止に役立つことになります。
現在、化石燃料の急激な消費により、大気中にCO2が放出され、地球温暖化(気候変動)が進行していますが、木造住宅をはじめとした木製品を身の回りに増やすことが地球温暖化の進行を阻止することになります。木材は使用しながら大気中のCO2を減らすことができる資材であるため、「エコマテリアル」ともよばれています。
木材を燃やしても大気中の二酸化炭素(CO2)は増加しない
木造住宅などを解体し、それを燃やしたときには、二酸化炭素(CO2)を放出します。しかし、このCO2は、もともと樹木が大気中に存在していたCO2を取り込んだものなので、長期的に見れば、大気中のCO2の増減はありません。この考え方は「カーボンニュートラル」といわれています。
木材は薪やペレットにすれば、化石燃料の代わりになります。いわゆる「バイオマスエネルギー」です。森林や木材の活用によって、化石燃料の消費量を減らすことができますし、「カーボンニュートラル」の考えからから、燃やしても大気中のCO2を増やすことはないのです。
地球の平均気温が上がり続けている。地球温暖化だ。この原因は地球の空気の中の「二酸化炭素(CO2)」が増えていることなんだ。森林の木々は空気中からCO2を吸収して、炭素(C)の形にして蓄えるんだよ。だから木がたくさんあると、地球温暖化防止につながるんだ。
そして、木は木材として使用されている間も炭素(C)を蓄えていて、温暖化の原因のCO2を吐き出すことはないんだ。だから木材でつくられた家は「第二の森林」「まちにある森林」などよばれているんだよ。
〔参考文献・出典〕
国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所関西支所「研究情報 No.147」