人にやさしい木の空間に暮らすことが健康で長生きできる秘訣の一つといわれます。ここでは科学的な実験を紹介します。
木材は私たち人間にとって「落ち着く」「なごむ」「あたたかみを感じる」など癒しの効果があり、とても相性がいい自然素材です。また調湿効果や断熱効果に優れ、衝撃を和らげるなどの長所があります。木材を暮らしの中に取り入れることにより、人に優しく、健康で快適な住空間を創出することができます。
ある老人ホームで、心身の不調やケガについて調べてみたところ、施設に木材が多く使われている施設の方がインフルエンザやケガ、不眠などの発生率が低いことという結果が出ました。
木はダニや病原菌などを寄せ付けない素材であるため、内装を木質化する病院も少なくないようです。
高齢化社会を迎えた現在、人にやさしい木材を使った住環境づくりが必要なのではないでしょうか。
木の環境は死亡率も低下させるようです。下のグラフは、西日本地域の女性を対象に、木造率と乳癌による死亡率の関係を1968年から10年ごとに調査した結果です。木造率が高いほど乳癌による死亡率も減少することがわかります。
木製(ヒノキ)の飼育箱の中の子どものマウスは90%生存しましたが、金属製では半分、コンクリート製では10%以下という実験結果があります。人間も木の空間では、健康に長生きできるのかも知れません。
〔参考文献・出典〕
財団法人 日本木材総合情報センター・社団法人全国林業改良普及協会・林野庁「木のある健康で快適な暮らし」をもとに作成/全国社会福祉協議会「高齢者・障害者の心身機能の向上と木材利用・福祉施設内装材等効果検討委員会報告書」