間伐前後における一定期間の年平均成長量を比較
間伐を行うと、木々がよく成長するようになるため、その分、二酸化炭素(CO2)をより吸収し、温暖化防止にもつながるといわれています。しかし、森林全体で見れば、間伐した分、木が減るため、森林全体としてのCO2の吸収量も少なくなるのではという疑問も残ります。実際はどうなのでしょうか。
次のグラフは、森林総合研究所が数十年かけて計測され続けているデータをもとに作成したものです。
※このグラフは森林1haに含まれる木々の成長量の総和です。つまり、木の体積(=蓄積)の増加量の総和です。1本の木についての成長量ではありません。
※グラフでは「間伐後1~5年」など期間を表示していますが、その期間(5年間)の成長量ではなく、その期間における1年間あたりの平均成長量です。
※茨城県上君田スギ試験地において、48年生の森林を間伐した結果です。
間伐と木々の成長を考えるときのイメージとしては、木々は光合成によりCO2を吸収して育つため、木々の成長量=CO2の吸収量(比例する)となります。つまり、よく成長する木ほど、よくCO2を吸収するということです。また、1本の木ではなく、森林全体(森林1haに含まれる木々の成長量の総和)で考えます。なお、成長量は、生きている樹木の幹・枝・葉の乾燥重量で測定します。
上のグラフを見ると、間伐を行う前(直前)の成長量は、間伐林(間伐予定林)と無間伐林の成長量は同じです。
間伐直後(間伐後1~5年)を見ると、無間伐林の成長量の方が大きくなっています。これは、間伐直後は森林の木々の本数が少なくなっているため、森林全体としての成長量が無間伐林と比べて小さくなるからです。
間伐後6年以上経つと、間伐林の成長量が大きくなります。木が少なくても、1本あたりの成長量が大きいため、森林全体のでは無間伐林を上回るのです。特に、間伐後16年~20年では、10倍近くの差が出てきます。
つまり、間伐林の方が無間伐林よりもCO2をよく吸収する森林といえます。
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〔参考文献・出典〕
森林総合研究所 研究成果選集