国際森林年 International Year of Forests 2011

 
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国際森林年ってなに?

世界の森林の約10分の1が存在するカナダの森林


そもそも「国際森林年」とは?

国際森林年は、2006年の国連総会決議で定められたものです。国際森林年は国連森林フォーラム事務局が実施主体になっており、日本では林野庁を主体として推進しています。

国際森林年の目的について、国連の発表によると、現在・未来の世代のために「持続可能な森林の管理、保全及びすべてのタイプの森林の持続可能な開発に関する意識を高めるために国際森林年・2011年を宣言した」となっています。

そのまま読むと、少々難しい表現になっていますが、言い換えると国際森林年の目的は、森林を未来に残すために「森林の保護」や「森林資源の利用」「森林の開発」など、人々と森林の関わり方について、世界の人々に認識を高めてもらうということです。

※ここで、持続可能とは「未来に残すこと」、管理、保全、開発は「人々と森林の関わり」として解釈しています。


持続可能な森林に関する意識を高めるとは?

国際森林年の目的は、上記のとおり「森林の持続可能な開発に関する意識を高める」ということですが、具体的な内容は、それぞれの国の森林の現状により異なります。

日本の場合はどうでしょうか?日本は国土の7割近くが森林で覆われている恵まれた国です(ちなみに世界の平均は3割)。そして、古くから日本人は森林の持つ公益的機能(※1)を大切に考え、保安林等で守られている森林が約5割もあります。このような国は世界的にもほとんどありません。

しかし、日本では、さまざまな要因から林業が衰退し、今や木材供給量の7割は輸入材です。日本では森林資源が豊富にも関わらず、世界で森林が減少し続けている中で、木材の7割を海外からの輸入に頼っているのです。

この現状を見ると、海外で森林が減少している責任の一端は日本にもあると言えるのではないでしょうか。世界の森林を守るためには、日本の林業を復興し、森林のサイクル(※2)を循環させることが必要です。それが持続可能な開発(森林経営)に相当し、国際森林年で認識を広めようとしている内容のひとつと言えるでしょう。

※1:森林の持つ公益的機能=森林から受ける恩恵のことで、例えば、降水を浄化していわゆる「おいしい水」にしたり、降水を保持し洪水を防ぐ「水源かん養機能」、国土を山崩れ等の災害から守る「国土保全機能」など。

※2:森林のサイクル=森林(育成林・人工林)はいわば「木の畑」で、植えた木は、育てて、収穫して、資源として活用します。そして、収穫したらまた植えて、育てて、収穫して・・・というサイクルが本来の森林のサイクル。これが正常に循環すれば、いつまでも森林とその資源を未来に残すことができます。これを「持続可能な森林経営」と言いますが、林業の衰退により、循環せず、荒廃している森林が目立つようになり、公益的機能も衰えています。


国際森林年のシンボルマーク「人々のための森林」

こちらが国際森林年のシンボルマーク(ロゴ)です。テーマは「Forests for People」つまり「人々のための森林」です。


国際森林年ロゴマーク

ロゴには、人間が森林から受けている恩恵を象徴

上のロゴは、さまざまな要素が描かれていますが、人間と森林との関わり、人間が森林から受けている恩恵が象徴されています。

中心に人間が描かれています。これは未来に残せる森林の保全や管理、開発は人間が中心的な役割を担っているということです。言い換えると、人間は森林を活かして、森林からさまざまな恩恵を受けることもできますし、逆に破壊してしまうこともできるということです。

そして、森林によってもたらされる恩恵が人間のまわりに描かれています。

  解釈
森林は人々に住環境を提供し、保護を与えてくれること。
森林から生産される木材は、はじめさまざまな用途に使われますが、住居はその代表です。日本では、縄文時代のたて穴式住居から、高床式住居や倉庫、江戸時代の長屋、合掌づくりの家、最近のモダンな木造住宅にいたるまで、さまざまな住環境とともに保護を与えてくれます。
動物 カモシカ(ほ乳類)、カモ(鳥類)、イモリ(は虫類)、葉(植物)
森林は、多様な生物の住処となること。
森林には、草原などと比べて、はるかに多く種類の動物が生息しています。それは、天敵から身を守るための隠れ家となり、木々により日陰ができるなど、生きやすい環境となっているからです。また、マークには象徴されていませんが、森林の土壌にも、バクテリアが存在し、森林生態系の中で大切な役割を担っています。
りんごと薬のビン 森林は食料と医療品の源であること。
もちろんこれだけでなく、建設資材、工具、工芸品、衣類や装飾品、宗教や文化的素材なども森林から得ています。
人間をはじめ、水はあらゆる生物が生きて行く上で不可欠です。その水の源は森林(山)です。 そして、私たち人間は、川より必要な水を得ています。同時に、森林は雨水や雪解け水を蓄え、 洪水を防いでくれます。
雲と雨 森林が地球温暖化やハリケーン、猛暑、大干ばつなどの異常気象を緩和し、安定した気候を維持してくれること。 森林の木々は、CO2を 吸収したり、土壌に蓄えられている水を根から吸い上げ、蒸気として空気中放出しています。このため急激な気象変動を緩和してくれます。

国際森林年2011・日本のテーマは「森を歩く」

平成22年12月16日に、第1回 国際森林年 国内委員会が開催されました。委員は、草野 満代さん、坂本龍一さん、沼田早苗さん、養老孟司さん、C.W.ニコルさんなど各分野のスペシャリスト14名。そうそうたるメンバーで議論が交わされました。その結果を受けて、農林水産省では「国際森林年のテーマ」次のようにテーマを決定いたしました。

「森を歩く」

~未来に向かって日本の森を活かそう~
~森林・林業再生元年~

農林水産省によると「このテーマには、国民の皆さんに、森林への理解を深める入り口としていただくとともに、暮らしの中に森林や木材を取り入れていただけるようにとの期待も込められている」とのことです。


国際森林年/政府の具体的な取組

国際森林年推進事業として、3億円の予算が措置されています。政策目標として「2012年3月までに、国際森林年及び持続可能な森林経営に対する認知度を20%増加」を掲げています。

なお、事業の主な内容は次のとおりです。

  • 国際森林年の取り組みを推進するための国内委員会の設置と運営
  • 国内外で国際森林年に関する啓発活動を促進するための「国際森林年名誉大使」を任命
  • 国民の理解を促進するための情報の整備や民間企業等による記念事業の実施
  • 海外から専門家等を招き「国際森林年記念会議」を開催
  • 国内の森林・林業関係者等の意識の啓発を図る行事を開催し、森林・林業再生に向けた動きを後押しする

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