白山山系と白山神社 豊かな自然に恵まれた信仰の対象地

大汝峰から望む白山(左:剣ヶ峰、右:御前峰)と翠ヶ池

大汝峰から望む白山(左:剣ヶ峰、右:御前峰)と翠ヶ池

白山(はくさん)は、白山山系の最高峰である「御前峰(ごぜんがみね|標高2,702m)」を中心とする周辺の山峰の総称です。古くは「しらやま」と呼ばれ、多くの和歌にも詠まれるほど、人々の関心を集めていました。

日本では、ここより西に御前峰より高い山はなく、西限あるいは、南限とする野生動植物(オコジョやハイマツなど)が多く見られます。豊かな自然に恵まれたこのエリアでは、ブナの原生林が広く残っており、多くの動物が育まれています。特に、ツキノワグマやニホンカモシカの日本有数の生息地となっています。標高の高い場所では、クロユリやバクサンコザクラなどの花畑が広がっており、「高山植物の宝庫」ともいわれています。

平成14年4月、近畿中国森林管理局と中部森林管理局は、石川、福井、富山、岐阜の4県にまたがる国有林が白山山系緑の回廊に指定しました。面積は隣接の保護林(17,604ha)を合わせると約60,504ha(淡路島程度の面積)にも及びます。

また白山は、富士山、立山と共に日本三霊山の一つとなっており、信仰の対象ともなってきました。日本には古来より、山や川などには神々が宿るという、自然神の信仰がありますが、養老元(717)年、泰澄(たいちょう)大師が初めて白山の登頂を果たし、開山しました。その行程の困難さから厳しい修行の一つにしました。しかし、いつでも山に登れるわけではないため、山麓の至る所に社殿が建てられ、遠くから参拝する遙拝(ようはい)が行われました。白山信仰が広まるにつれ、白山の神に村を守ってもらおうとする鎮守の神として、各地で神社が建てられていきました。これが白山神社で、現在は青森県から鹿児島県に至る42都府県に約3,000社もの数があり、全国規模で信仰の対象とされています。


〔出典・参考文献等〕
近畿中国森林管理局

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