木材を顕微鏡でみると隙間が目立ちます。この隙間を空隙(くうげき)と呼びます。木材の体積の半分以上はこの空隙でできています。
木材を顕微鏡でみると隙間(すきま)が目立ちます。この隙間を空隙(くうげき)と呼びますが、木材の体積の半分以上はこの空隙でできています。つまり半分以上は空気。そのため目次は軽いのです。
木材を顕微鏡でみると隙間が目立つ
ところで、日本産で一番重い木材は「イスノキ」です。それでも4割は空隙です。一方、日本産で最も軽い木材は「キリ」で、8割近くが空隙です。ちなみに世界一重い木材はリグナムバイタで2割が空隙、世界一軽いのはバルサで9割以上が空隙です。
木材は樹種によって、重かったり、軽かったりしますが、それは樹種によって空隙の割合(=空隙率)が違うからです。木材の重さは同じ体積の水の重さを基準とし、比重で表します。
例えば、1リットルの水の重さは1000g(=1kg)になりますが、同じ体積(=縦横高さが10cm)の立方体のスギ材の重さを量ったら380gであった場合、比重は0.38と表現します。また、ある木材を計ったら1000g(水と同じ)であった場合、その木材の比重は1となります。つまり、比重とは、水の重さを1として、何倍の重さになるかを表す値のことです。
比重が1より大きい木材は、水に沈み、1より小さい木材は水に浮くことになります。
上記のとおり、木材は空隙がとても多いのですが、実は生材の空隙の中には、水がたくさん含まれています。しかも、空隙をつくる壁(=細胞壁)の中にも水が含まれています。これでは、純粋に木材だけの重さは量れず、同じ樹種でも水の含み具合(=含水率)によって、違った比重になってしまいます。そこで、木材を乾燥させてから、重さを量ります。そうすると、同じ樹種では、ほぼ同じ比重になります。
木材は放っておくと乾燥します。すると空隙の中の水と空隙をつくる細胞壁の中の水の一部が抜けます。いわば「エアードライ」の状態です。そのときの比重を、専門用語で「気乾比重」といいます。さらに、乾燥機を使うと、細胞壁の中の水まで抜くことができます。完全に乾燥した状態です。このときの比重を専門用語で「全乾比重」といいます。この「全乾比重」が、その木材の一番軽い状態を表し、その木材の純粋な重さということになります。
樹種 | 全乾比重 | 空隙率 |
イスノキ(日本で一番重い木) | 0.85 | 43% |
キリ(日本で一番軽い木) | 0.26 | 83% |
リグナムバイタ(世界で一番重い木) | 1.23 | 18% |
バルサ(世界で一番軽い木) | 0.10 | 94% |
ただし、実際には木材は空気中の水分を吸収するため、完全に乾燥した状態で存在するわけではありません。全乾比重は、研究者向けの値で、一般に木材の利用をするときには、気乾比重が実用的です。
〔参考文献・出典〕
(財)日本木材総合情報センター「木net」「木材情報」(2008.9)