木材の防ダニ効果

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木の環境がダニを寄せ付けない

気管支ぜん息やアトピー性皮膚炎などアレルギーの大きな原因の一つに住居に生息するダニがあげられています。特に、気管支ぜん息の50%から90%は室内のダニが原因といわれています。

次のグラフはある集合住宅の床をカーペットからナラ材など木のフローリングに改装したときのダニ数の調査結果です(1平方m当り)。これを見ると改装後にはダニが激減しています。これは木材の持つ調湿効果や木材に含まれる香りの成分(精油)が有効にはたらいて、ダニの繁殖を抑制する効果や殺ダニ効果が発揮されたためと考えられています。また、隠れ場所になるような隙間がなくなったことも理由のようです。木にはダニを寄せつけない効果があり、清潔で健康な暮らしに大いに役立っているようです。

ダニ数の変化のグラフ

フローリング改装前と改装後を比べると104匹から23匹へ減少している
財団法人 日本木材総合情報センター・社団法人全国林業改良普及協会・林野庁「木のある健康で快適な暮らし」をもとに作成/高岡・高野・宮崎,1985

※ダニは住居内の室内塵(ゴミ)中で繁殖します。室内塵は食べ物のかすや人のふけ、その他室内の片隅に落ちていてダニのエサとなるものです。ダニは高温多湿を好むので、ダニの繁殖を抑えるには、室内の床をできるだけ清潔にして、湿度を低くしておくことが必要です。

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木材の香りの効果による防ダニ効果

ヒノキ、スギなどの国産材、ベイヒ、ベイスギなどの北米材の香り成分により、ダニの繁殖が抑えられることが確かめられています。次のグラフは、精油成分による殺ダニ効果の実験結果を表したものです。

ヤクスギの土埋木(伐採されたヤクスギの地中に残された根の部分のこと)では、3日後には90%以上のダニが死滅しています。特に強力なのが、クマリンです。このにおいのもとでは、ダニは1日で全滅します。クマリンはサクラの葉から抽出される成分で、桜餅の葉から発する独特の甘い香りの成分です。

精油成分による殺ダニ効果

精油成分による殺ダニ効果

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防虫効果

木の精油は防虫剤として、古くから使用されてきています。スギの葉を蒸した「蚊とり線香」、クスノキから得られる「樟脳」などが一般によく知られています。また、ヒノキ、コウヤマキ、サワラ、ヒバには木材を食害するシロアリを殺したり、追い払ったりする成分が含まれています。

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防菌・防カビ効果

木の精油成分の中には、クロカビやアオカビ類、木材腐朽菌などに対し、抗菌性をもっているものがあります。特に、ヒノキ、ヒバの精油成分には、強い抗菌性があることが認められています。木の精油成分は合成薬品や抗生物質ほど強力ではありませんが、穏やかに作用し、害がないことがメリットです。


〔参考文献・出典〕
財団法人 日本木材総合情報センター、財団法人日本住宅・木材技術センター「木がつくる住環境(芳香物質編)」をもとに作成


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