育成複層林施業とは|森林を守りながら活かす持続可能な林業

育成複層林。上層木の一部を伐採しても、下層木が残り、緑が保たれることから、生物多様性の保全公益的機能を発揮させやすい。
育成複層林とは
育成複層林とは、樹齢や樹種、高さの異なる樹木が層状に構成されている森林のことです。こうした構造を持つ森林は自然に近く、生物にとって多様な生息環境を提供します。
上層の大きな木の下に中層・下層の若い木が育つことで、常に森林全体が緑に覆われ、雨による土壌流出の防止や、水の保持機能なども保たれます。
育成複層林施業とは
育成複層林施業は、一斉伐採ではなく、成熟した木を計画的に少しずつ伐採(抜き伐り)し、空間に新たな苗木を植えたり、自然に育った稚樹を育てたりする森林管理の手法です。
この方法では、森林が常に緑に覆われた状態を維持できるため、公益的機能を保ちつつ、持続可能に木材資源を活用することが可能になります。

育成複層林のイメージ図
育成複層林施業の主なメリット

育成複層林
- 森林の緑が絶えない:伐採後も下層木が残るため、景観や環境への影響が小さく抑えられます。
- 生物多様性の確保:さまざまな樹種・樹齢の木々が共存し、多様な生物の生息環境を維持できます。
- 公益的機能の維持:森林の持つ防災・水源涵養・CO₂吸収などの多面的な機能を保ち続けられます。
- 災害リスクの低減:一斉伐採による裸地化を避け、土砂崩れなどのリスクを軽減します。
受光伐による下層木の育成
育成複層林では、下層の木が健やかに育つための光を確保することが重要です。そのため、必要に応じて上層木を部分的に間引く「受光伐(じゅこうばつ)」が行われます。これにより、若木への光環境が改善され、安定した世代交代が可能となります。
針広混交林の形成
育成複層林施業では、針葉樹中心の人工林に広葉樹を導入することで、針葉樹と広葉樹が共存する「針広混交林(しんこうこんこうりん)」をつくることも可能です。こうした混交林は、より自然に近い構造となり、生態系の安定化や防災面でも優れた効果が期待されます。
導入が進む育成複層林施業
育成複層林施業は、林野庁や各都道府県が積極的に推進しており、全国のさまざまな地域で導入が進められています。伐って終わりではなく、育てながら使い、森の機能を未来へ引き継ぐ――それが、これからの森林管理に求められる考え方です。

🌲ずっと緑の山を育てる「育成複層林(いくせいふくそうりん)」って?
森の木って、全部いっぺんに切ってしまうと思っていませんか? たしかに昔は、大きく育った木をまとめて一度に切るやり方が多かったんです。
でも最近は、「育成複層林(いくせいふくそうりん)」という、新しい森づくりの方法が注目されています。
この方法では、大きな木を少しだけ切って、その間に小さな木を育てていきます。 そうすることで、山はずーっと緑のまま。森に住む動物たちも安心です。
さらに、葉っぱが雨をやわらげてくれるから、土が流れるのも防いでくれるんだよ。 森を大切にしながら、木もちゃんと使える――それが育成複層林のいいところ。
森を切って終わりじゃなく、「育てながら使う」こと。 これが、未来の森を守るカギなんだね 🌳✨
〔参考文献・出典〕
全国森林組合連合会・一般社団法人全国林業改良普及協会「緑豊かな未来のために森林整備を進めよう」/林野庁ホームページ「間伐は森林づくりの基本 育成複層林施業の推進」