間伐の種類(定性間伐・定量間伐・列状間伐)
間伐とは
間伐とは、植林木の成長過程で過密となった立木の密度を調整するために、一部を抜き伐りする木の間引き作業のことです。
苗木を植えてから15~20年位経ち、木々が成長してくると、林の中が混み合ってきます。そのまま放置すると隣り合った木々の枝葉が重なりあい、根も十分に張ることができなくなり、木々が健全に育つことが難しくなります。そこで木の間引き「間伐」を行います。
木々が密集しており、お互いの成長を阻害している
©2010 私の森.jp 写真部
間伐は、林業では必要不可欠な作業です。間伐を行うことにより、木々が健全に成長し、価値の高い木材を生産することができますし、間伐木を販売することによる収入確保などが見込まれます。しかしながら、コストの問題や人材・技術者不足の問題などが生じており、間伐が難しくなっている現状も見受けられます。
間伐により木々の密度を調整することで、残存木の成長が促進され、風雪害や病虫害に強い健全な森林を作ることができます。また、一本一本の木が適度な間隔を保つことで、林床(森林の地面)に光が届き、植生が繁茂するため、地表の侵食や土砂流出を抑制することもできます。同時に様々な動植物の生育・生息が可能となり、森林生態系も豊かに育っていくため生物多様性の保全にも繋がります。
なお、間伐は主に秋から冬にかけて実施されます。
定性間伐
木々の形質や形状に重点を置いて、あらかじめ伐る木を決めて行う間伐が定性間伐です。隣接木との関係を森林の現場で一本一本確認しながら実施します。基本的には、成長のよくない木、ひょろひょろとした木、曲がった木などから順に伐って行き、優良木を残します。そのため、定性間伐では、間伐木の選定が大切です。定性間伐は、間伐方法として主流となっています。
定性間伐のイメージ図
定量間伐
定量間伐は、立木の形質や形状よりも、立木の密度に重点を置いて、残す量をあらかじめ決めて行う間伐です。機械的に木を選定するため、優良木と不良木の比率は間伐前後で変わりませんが、選木にかかる時間を短縮できるというメリットがあります。定量間伐は、経済的な合理性(低コスト)や作業の安全性を考慮した上で採用されることが多いようです。
定量間伐のイメージ図
列状間伐
列状間伐は定量間伐の代表例で、斜面の上下に沿って列状(筋状)に間伐する方法です。立木の形質や形状などに関係なく直線的に残ります。このため伐採した列は、間伐木の搬出にも利用できるようになります。 列状間伐は「部分皆伐(ぶぶんかいばつ)」といわれることもあります。
列状間伐のイメージ図
列状間伐は、高性能林業機械によって、低コストで効率的に間伐ができる比較的新しい方法です。3列を残して1列を伐採する「3残1伐」や「4残1伐」など、森林の状況により方法を選択します。また、魚骨型や放射状型とよばれる列状間伐の方法もあります。
列状間伐では、定性間伐のように伐採木を選ばず、効率を優先するため、優良木を伐採してしまったり、不良木が残ってしまうという短所もあります。このため、伐採した木の良否によって、使い道を分けることができれば、合理的な間伐方法になるでしょう。
また、樹木の形質・形状をある程度そろえるために、定性間伐を行った上で、列状間伐を行ったり、列状間伐を行った後に、残存している不良木を取り除くために定性間伐を行うなど、列状間伐と定性間伐を組み合わせて、それぞれの間伐の長所を生かす方法で実施されることもあるようです。
列状間伐
〔参考文献・出典〕
林野庁・社団法人全国林業改良普及協会「間伐のしおり」/林野庁「列状間伐の手引」/林野庁「森林・林業白書」