CLT しーえるてぃー

Cross Laminated Timber:直交集成板

CLT(Cross Laminated Timber:直交集成板)は、木の繊維方向が縦横交互になるように重ねられた厚みのあるパネルで、近年、構造材や内装材として建築業界で注目を集めています。CLTは、1990年代初頭にオーストリアで開発され、その後ヨーロッパで技術が進化してきました。日本では2013年にJAS(日本農林規格)の製造規格が制定され、2016年には建築基準法にも組み込まれ、最近になって様々な建物に利用されるようになってきました。

CLTの特徴の一つは、軽量でありながら強度が高いことです。CLTパネルは従来の木造耐力壁よりも水平耐力が高く、大空間や高層建築にも適しています。また、鉄筋コンクリートの5分の1以下の重量であり、材料輸送や基礎部分のコスト削減に繋がり、建物自体の軽量化が耐震性能を向上させます。

さらに、木材の多孔質性から断熱性や遮音性も優れており、10cm厚のCLTパネルは5cm厚グラスウールと同等の断熱性能を持ち、木材にありがちな反りや曲がりなどもなく、正確な施工が可能です。さらに、木の温もりや質感により、空間に意匠性を持たせることができます。

工場での生産・加工して、現場での組み立てが容易で、工期も短縮できます。従来の木造工法よりも簡素で技術を必要とせず、熟練の技術者でなくても対応できるため、慢性的な職人不足に悩まされる建築業界の救世主になる可能性も秘めています。

また、林業にも良い影響を与えます。CLTには曲がった木や端材などの建材に向かない部分も活用でき、国産材による高層建築の実現や森林資源の効率的な利用を促進します。ただし、高コストという課題もありますが、国産材の需要増加により調達コストが下がれば、価格も改善される可能性があるでしょう。


〔参考文献・出典〕
建築ジャーナル 2022年7月号/CLT建築推進協議会HP/一般社団法人日本CLT協会HP/日本木造分譲住宅協会広報誌 JWHA PRESS 2023.1


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