生物多様性

生物多様性

生物多様性条約

地球上のあらゆる生物の多様性を生態系とともに最大限に保全し、また、その生物資源の利用の持続と利益の分配を目的とした国際条約。正式名称は「生物の多様性に関する条約」。

地球上の動物、植物、微生物には膨大な種が存在します。その「種」の多様性以外にも、「遺伝子」の多様性、「生活環境(生態系)」レベルの多様性が存在します。その生物の多様性をまもり、食料や医薬品として、さらに水や空気を提供してくれる生物資源としての利用の持続を図っていくことが目的。

1992年5月、ケニアのナイロビで採択され、同年ブラジルで開催された国連環境開発会議(地球サミット)で日本をはじめ157か国が条約に署名し、1993年に発効しました。

生物多様性

生物多様性とは

釧路湿原のタンチョウ

生物多様性とは、文字とおりに捉えると、「生物が多様である(バラエティに富んでいる)」ことです。確かにそのとおりなのですが、これは生物多様性の中のひとつ「種の多様性」のことです。

生物多様性には「生態系」の多様性も含まれます。植物や鳥、昆虫、魚、土の中の微生物まで、私たちの身の回りには、数千万~1億ものの種が生息してます。そして、多様な種は食物連鎖や共生などの関係を保ちながら生態系(生物のネットワーク)を作っています。

豊かな熱帯林の生態系もあれば、砂漠の生態系もあります。森林の生態系、海の生態系など、自然界には多様な生態系が存在しています。こうした地球上の多種多様な生物のつながり(生態系)も「生物多様性」の一つです。

さらに、生物多様性には、遺伝子にも多様性も含まれます。同じ種であっても生息環境の違いに応じて少しずつ違いがあります。例えば、イワナやアサリ、テントウムシのように同じ種でも遺伝子が違うため、形や模様、生態などに多様性を持っています。

まとめると、生物多様性には、次の3つのレベル(カテゴリ)があります。

  1. 種の多様性
  2. 生態系の多様性
  3. 遺伝子の多様性

これらは、生物多様性条約における定義です。生物よく使われる「生物多様性の喪失」、「生物多様性の恩恵」、「生物多様性の保全」などの言葉は、これら3つを引っ括めて意味している場合がほとんどのようです。

なお、生物多様性の保全が国際的な課題に、浮上したのは、1992年の地球サミットで採択された「生物多様性条約」がきっかけです。生物多様性条約は、1993年12月29日に発効し、地球規模で生物多様性の保全とともに、自然資源の「持続可能な利用」を目指す条約です。194の国、EUとパレスチナが締約しています(2018年11月現在)。

※生物多様性条約の目的は、(1)生物多様性の保全、(2)生物多様性の構成要素の持続可能な利用、(3)遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分