三大美林 さんだいびりん

美しさと品質を兼ね備えた森

三大美林とは、日本国内において特に林相(りんそう)が美しく、材質にも優れた針葉樹林の中から選ばれた、青森ヒバ・秋田スギ・木曽ヒノキの三つの森林を指します。それぞれ木材としての品質が非常に高く、景観や林業文化においても重要であることから、「美林」と称されます。

もともとは天然林が主体でしたが、現在では人工林化や保護も進められており、林業技術・伝統・景観・文化の面でも日本を代表する森林です。

「美林」という名称には、単なる木材生産地というだけでなく、美しい森林景観と森林管理の理想的な姿を体現する林という意味が込められています。

青森ヒバ(あおもりひば)

青森ヒバの写真

写真:東北森林管理局

青森ヒバは、青森県の下北半島や津軽地方に広がる針葉樹林で、天然のヒバ林が多く残る全国でも希少な地域です。古くから耐久性と抗菌性に優れた木材として知られ、神社仏閣、風呂桶、建具などに用いられてきました。江戸時代には藩政下で保護管理が進み、明治以降は国有林として整備されました。現在も人工林と天然林が混在しながら育成されており、特有の香りをもつ「ヒノキチオール」の成分が森林浴効果を高め、癒しの森としても注目されています。

主な分布青森県の下北半島・津軽地方
樹種ヒノキアスナロ(別名:アスナロ)
特徴
  • 高い耐湿・耐腐朽性をもつ。
  • 特有の芳香(ヒノキチオール)で抗菌効果がある。
  • 神社仏閣の建築や浴室材、家具材として重宝される。
森林の景観緑濃く、しっとりとした森の風情。苔むした地面と相まって神秘的。

秋田スギ(あきたすぎ)

秋田スギの写真

秋田スギは、秋田県北部を中心に分布し、古くから「秋田の宝」として知られてきた銘木です。木目の美しさと赤みがかった艶やかな色合いが特徴で、柔らかく加工しやすいため、伝統的な建具や内装材、曲げ物などに広く用いられてきました。江戸時代には秋田藩が積極的に植林を行い、戦後も国有林を中心に人工林化が進められました。能代市を中心とした地域では、林業と木材加工の産業が発展し、秋田スギは日本の林業・木材文化の象徴とされています。

主な分布秋田県の北部(特に能代・大館地方)
樹種スギ(アキタスギ)
特徴
  • 木目が美しく、赤みを帯びた艶やかな材色。
  • 柔らかく加工しやすい。
  • 建具・内装材・彫刻材などで重用される。
森林の景観樹高が高く、まっすぐに伸びたスギ林は荘厳な雰囲気。秋田の林業の象徴的存在。

木曽ヒノキ(きそひのき)

木曽ヒノキの写真

木曽ヒノキは、長野県の木曽川上流域に広がる美林で、江戸時代に尾張藩が「木一本、首一つ」と称する厳しい伐採禁止令を敷いて保護したことで知られます。その結果、現在まで樹齢300年以上の天然林が数多く残され、伊勢神宮の式年遷宮にも使用される最高級の建築材として重宝されてきました。緻密な年輪、美しい香り、耐久性を兼ね備えた木曽ヒノキは、日本建築文化を支える存在であり、林業技術や景観保全の面でも高く評価されています。

主な分布長野県木曽谷(木曽川上流域)
樹種ヒノキ
特徴
  • 緻密で狂いが少ない木材。
  • 香りがよく、耐久性に優れる。
  • 伊勢神宮や数々の重要文化財の建築に使われてきた。
森林の景観樹形がまっすぐで均整がとれ、美しい林相を形成。江戸時代からの「木一本首一つ」の保護政策によって守られてきた歴史がある。


🌳 きれいで立派な
「三大美林(さんだいびりん)」ってなあに?

日本には、特に木がまっすぐきれいにのびていて、木の性質もすばらしい「三大美林(さんだいびりん)」とよばれる3つの森があります。それは…

青森ヒバ(あおもりひば)🌲
秋田スギ(あきたすぎ)🌲
木曽ヒノキ(きそひのき)🌲

どれも、昔から大切に育てられ、今では日本の森の中でもとくに有名なんだよ。

🌲 青森ヒバ(あおもりひば)

青森県の北のほうにある森に生えている木で、「アスナロ」という名前でも知られているよ。
この木は水やカビにとっても強くて、おふろや神社の建物に使われるんだって。木からはいい香りがして、ばい菌をよせつけない力もあるんだよ。

森のなかはしっとりしていて、地面にはコケがいっぱい。まるで森の妖精が出てきそうな場所なんだ✨

🌲 秋田スギ(あきたすぎ)

秋田県の北のほうにあるスギの木は、「秋田スギ」とよばれて、まげもの(おわんやお弁当箱の材料)や、家の中のかべや天井につかわれることが多いよ。

木はやわらかくて、あかるい茶色。まっすぐでとても高くのびているから、森の中に入ると、まるで森の大聖堂(せいどう)にいるみたいな気分になるんだ!

🌲 木曽ヒノキ(きそひのき)

長野県にある木曽の山で育ったヒノキは、「木一本、くびひとつ」という言葉で大切に守られてきた木。
木の中はキメがこまかくて、とっても丈夫。いいにおいもして、伊勢神宮(いせじんぐう)の建てかえにも使われるくらい、特別な木なんだよ。

まっすぐにのびた木がならぶ森は、とってもきれいで、日本の森のお手本みたい!

🧭 どうして「三大美林」ってよばれるの?

これらの森は、木の形がそろっていてきれいなだけじゃなく、木の材(ざい)がすぐれていて、長く使えるから「美林(びりん)」とよばれるんだよ。

また、むかしからの人たちが木を切りすぎないように気をつけて、大事に育ててきたからこそ、今の美しい森があるんだね🌲🌳

🌟 さいごに

三大美林は、日本が世界にほこる「木の宝もの」✨
きれいな森を見て、木のにおいや手ざわりを感じると、自然のすばらしさをもっと知ることができるよ。
将来、森や木のことをもっと勉強して、森を守る人になりたいって思うかもしれないね!

森林・林業学習館 for きっず

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