もののけ姫の森 もののけひめのもり
屋久島・白谷雲水峡が映し出す幻想の世界
「もののけ姫の森」とはアニメ映画「もののけの姫」の森のモデルになったと言われる屋久島白谷雲水峡の森のことです。樹齢3000年と言われる弥生杉をはじめ、多くの大木とともに原生林が広がっており、人々に癒やしと感動を与えています。あまりに広く知られるようになったため、多くの観光客が訪れ、林床を踏み荒らしてしまったため、荒廃が目立つようになりました。2008年には「もののけの姫の森」看板は取り外され「苔むす森」に呼称が変更されました。

もののけ姫の森|屋久島・白谷雲水峡が映し出す幻想の世界
スタジオジブリの名作アニメ映画『もののけ姫』(1997年)は、自然と人間の共生や対立を壮大なスケールで描いた作品です。その中でも印象的な舞台として登場する「深い森」は、多くの人々に強い印象を残しました。この神秘的な森のモデルになったとされるのが、鹿児島県屋久島にある白谷雲水峡(しらたにうんすいきょう)です。
樹齢数千年の森が織りなす原生の風景
白谷雲水峡は、屋久島北部に広がる自然豊かな渓谷で、年間を通じて多くの登山者や自然愛好家が訪れる場所です。この森の中には、樹齢3000年を超えるといわれる「弥生杉」をはじめとした屋久杉の巨木が立ち並び、苔むした岩や倒木が湿潤な空気とともに幻想的な景観をつくり出しています。
太古の昔から変わらぬ姿で存在しているこの原生林は、映画に登場する「シシ神の森」や「こだま(木霊)」が歩き回る場面を思い起こさせるとして、いつしか「もののけ姫の森」と呼ばれるようになりました。
人気の代償~踏み荒らされた自然
『もののけ姫』の公開以降、白谷雲水峡にはジブリファンをはじめ、国内外から多くの観光客が訪れるようになりました。しかしその人気ゆえに、林床の苔が踏み荒らされ、本来の自然の姿が損なわれるという問題が生じるようになりました。特に一部の観光客のマナーの悪さが、貴重な生態系への影響を与えたことが指摘されています。
このような状況を受けて、2008年には白谷雲水峡内に設置されていた**「もののけ姫の森」という看板が撤去**され、現在では「苔むす森」という名称で案内されています。これは観光の在り方を見直し、訪れる人々により自然への配慮を求めるための一つの象徴的な取り組みでもあります。
自然との共生を考える場所として
「もののけ姫の森」こと白谷雲水峡は、単なる観光地ではなく、自然の尊さや人間との関わりについて深く考える場として、多くの示唆を与えてくれます。豊かな自然を未来へ残していくためには、私たち一人ひとりが足元の自然に敬意を払い、持続可能な形で関わっていく姿勢が求められています。
白谷雲水峡の森は、映画の世界を超えて、現実の中で私たちが自然とどう向き合うかを問う、大切な場所だと思います。訪れる際には、整備された登山道を歩くなど、私たち一人ひとりが自然への思いやりを持って行動できるよう心がけていきたいものですね。