枝打ち えだうち

木材の価値を高め、害虫や病気を防ぐ

枝打ちは節のない柱材などの高級材の生産のために立木の枝を切り落とす作業です。通常、枝打ち用の1本梯子と枝打ち用カッターで立木の最も長い枝よりも下の部分の枝を切り落としていきます。


枝打ちは木の成長をはかるものではなく、主に高品質の材の生産を目的として実施されます。枝打ちは、室町の時代に書院造や茶室建築が広まり、無節材が積極的に使われたことが起源とされています。その後、北山林業地(京都)を中心に化粧垂木と磨き丸太、樽丸材の生産のために発展してきました。

1950年代から全国で拡大造林が盛んに行われました。造林された人工林が枝打ちに適した時期に入った1970年代には全国でこぞって枝打ちが奨励されるようになりました。その当時、枝打ちされた高品質の木材(無節材をはじめ、見た目の美しさや希少性のある木材)は今では想定できないほどの高値で取引されました。素材生産者は付加価値のある木材が高値で取引できることを信じて、枝打ちが積極的に行ないました。

しかし、今では一般的に枝打ちは実施されていません。林業の現場では、木材価格の低迷や人手不足等の理由により、間伐すら手遅れ気味であり、枝打ちまでする余裕はないためです。また、建築様式や消費者のニーズの変化により、無節材等の高品質な材の需要が少なくなったこともその理由です。

枝打ちを実施することによる効果(メリット)

  • 無節の高級材を生産できる。
  • 植林木の成長量や年輪幅を制御し、年輪幅が狭く揃った高級材を生産できる。
  • 枝打ちにより、枯れ枝が除去され、枯れ枝に産卵する害虫の侵入を防ぐことができる
  • 林内の見通しがよくなることで、野生鳥獣の隠れ家が減り、ニホンジカなどによる林業被害を防ぐことができる
  • 林床に光が届くようになり、下層植生が豊かになり、土砂災害等の山地災害を防ぐことができる。

〔参考文献・出典〕
一般社団法人全国林業改良普及協会「林業新知識(2020.10)」


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