森林・林業基本計画 しんりんりんぎょうきほんけいかく
国の森林政策の最上位計画
「森林・林業基本計画」とは、森林・林業基本法(2001年施行)の基本理念の実現に向けて、森林および林業に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために策定される国の最上位計画です。森林・林業行政の「憲法」ともいえる位置づけであり、日本の森林政策の方向性を示す中長期的な指針となっています。
2002年(平成14年)に初の森林・林業基本計画が策定されて以降、社会情勢や国際的な環境課題の変化に対応しながら、おおむね5年ごとに見直しが行われています。 現在の計画では、気候変動対策(カーボンニュートラルの推進)、地域振興、持続可能な森林経営などが大きな柱となっています。
森林・林業基本計画の定義・位置づけ等
項目 | 内容 |
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法的根拠 | 森林・林業基本法(平成13年法律第161号)第15条 |
策定主体 | 政府(内閣) |
計画期間 | おおむね10年を見通し、およそ5年ごとに見直し |
目的 | 森林の有する多面的機能(国土保全、水源涵養、木材供給、地球環境保全など)を持続的に発揮させ、あわせて林業の健全な発展を図るための基本方向を示すこと。 |
主な内容 |
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※森林・林業基本計画は、都道府県の森林計画や地域森林計画、さらには市町村の森林整備計画など、下位計画の基本指針にもなっています。
制定の経緯と歴史
1. 前身:森林法に基づく「森林資源計画」
戦後の日本では、1951年(昭和26年)に制定された森林法に基づき、国土保全・木材資源の確保を目的とする「森林資源計画」が策定されていました。
しかし、高度経済成長期を経て、社会が求める森林の役割が「木材生産」から「環境保全」や「レクリエーション」など多面的な機能へと変化していきました。
2. 「森林・林業基本法」の制定(2001年)
こうした社会的変化を背景に、2001年(平成13年)にそれまでの「林業基本法(1964年制定)」が廃止され、「森林・林業基本法」が新たに制定されました。 この新法では、森林の多面的機能の持続的発揮を基本理念とし、木材供給の安定や森林整備の推進を含む総合的な政策体系を構築することが定められました。
3. 「森林・林業基本計画」の策定開始
森林・林業基本法の制定に伴い、2002年(平成14年)に初の「森林・林業基本計画」が策定されました。
以降、概ね5年ごとに見直され、これまでに次のように改定されています。
策定・改定年度 | 主な特徴 |
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2002年(平成14年) | 初の計画。森林の多面的機能の発揮を基本理念に位置づけ。 |
2009年(平成21年) | 地球温暖化防止、森林吸収源対策を重視。 |
2016年(平成28年) | 成長産業としての林業の再生、木材利用拡大に重点。 |
2021年(令和3年) | カーボンニュートラルの推進、森林資源の循環利用を明確化。 |
4. 最新版の方向性
現在の(2021年策定)計画では、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、
- 森林の持続可能な循環利用
- 林業の成長産業化
- 木材利用の拡大(建築・バイオマス・カーボンストック)
が重点テーマとされています。

森林・林業基本計画ってなに?
「森林・林業基本計画(しんりん・りんぎょう・きほんけいかく)」は、日本の森をまもり、上手に使うための国の約束です。
森を健康に育てながら、木を必要なだけ使い、みんなのくらしに役立てるための「道しるべ」なのです。
どうして大切なの?
- 森はみんなの味方…雨をたくわえ、土砂くずれをふせぎ、どうぶつたちのすみかになります。
- 空気をきれいに…木は二酸化炭素(にさんかたんそ)をすいこんで、地球温暖化(おんだんか)をふせぐ力があります。
- 木はえらい資源…家や学校の机、えんぴつなど、わたしたちのくらしをささえています。
この計画では何を決めているの?
- 森をどう守るか…木を切る場所・育てる場所・守る場所を考えて、バランスよく計画します。
- 木をどう使うか…家づくりや学校での木の利用をふやして、ムダなくつかいます。
- みんなで支える方法…林業(りんぎょう)をはたらきやすくして、地域を元気にします。
だれが作って、どのくらいの期間つづくの?
国(こく/政府)が中心になって作ります。
内容はだいたい5年ごとに見なおして、今のじだいにあうようにアップデートします。
わたしたちにできること
- 木でできたものをたいせつに使う(長く使う・直して使う)。
- 森や木のびょういん(病気)のお話を調べてみる。
- 近くの森でクリーン活動や自然観察に参加してみる。
豆知識(まめちしき)
木でつくった家や家具は、使っているあいだも炭素(たんそ)をためておくはたらきがあります。
だから、木を上手に使うことは、地球を守ることにもつながるのです。
大人向けのことばで言うと、森林・林業基本計画は「日本の森をまもり、活かすための国の最上位の計画」。
むずかしく聞こえるけれど、目標はとってもシンプル——森と人がずっと仲よくくらしていくことです。