木材保存処理 もくざいほぞんしょり
木材の劣化原因と対策
木材保存処理|木材の劣化原因と対策
木材が劣化する主な原因は、腐朽菌と呼ばれる微生物の存在です。これらの微生物は木材に必要な栄養と、空気、温度、水分の条件が揃うと、活発になります。屋外では土に接する場所や雨水が溜まる場所、屋内では床下や水回り付近が特に腐朽被害に遭いやすいエリアです。住宅の高気密・高断熱化が進む中で、壁内に結露が生じ、木材が腐朽菌によって傷むことも増えています。
また、シロアリも木材の重要な脅威です。地下を移動するシロアリは住宅の基礎など、地面に近い材料を食害します。近年では飛翔可能な外来種であるアメリカカンザイシロアリによる被害も増加しています。これにより、土台に使われる材だけでなく、建物全体の構造材も危険にさらされる可能性があります。
これらの問題を解決するためには、「木材保存処理」と呼ばれる特別な処理が必要です。現在、木材保存処理には主に「表面処理」と「加圧注入処理」の2種類があります。
表面処理は、高濃度の薬剤を木材表面に塗布する方法です。手間とコストが少なく、メンテナンスが容易ですが、薬剤が表面にしか存在せず、均一な保護が得られない可能性があります。また、木材が割れたり加工されたりすると、露出した部分が腐朽菌やシロアリの被害を受けやすくなります。
一方で、加圧注入処理は木材を処理装置に入れ、減圧・加圧処理を行い、薬剤を木材の内部まで注入する方法です。手間とコストはかかりますが、薬剤が表面だけでなく内部にも浸透するため、均一な保護が期待できます。この方法は、木材保存処理として世界的に最も広く採用されており、「日本工業規格」JIS A9002に基づいた信頼性の高い処理方法です。
〔参考文献・出典〕
兼松サスティックス株式会社「乾式防腐・防蟻ニッサンクリーン処理木材」